芥川賞作品の評価はなぜ低い?【Amazonでの独自調査】

分かりやすく簡単に解説シリーズ

こんにちは、ニンジャです!
今回は、なぜ芥川賞作品の評価は低いのか?というテーマで書いていこうと思います。

みなさん、芥川賞を受賞した作品を読まれたことはありますか?

いわゆる純文学といわれる小説ですが、結構な割合で「純文学は苦手…」「芥川賞の小説はあんまりおもしろくない」という声を聞きます。

また、Amazonの評価を見てみても芥川賞の方が、直木賞や本屋大賞を受賞した作品よりも相対的に評価が低いように感じます。

では、なぜ芥川賞を受賞した作品は世間的な評価が低く、「おもしろくない」と感じる人が多いのでしょうか?

これは、小説を読むときにある視点が欠けているからだと考えています。

「いったいどんな視点が欠けているんだ!?」というお話の前に、本当に芥川賞を受賞した作品の評価は低いのか見てみましょう!

芥川賞 vs. 直木賞 vs. 本屋大賞

冒頭で「芥川賞受賞作品の世間的な評価が低い」と書きましたが、本当にそうなのでしょうか?

それを確かめるために、2021年に芥川賞を受賞した作品と直木賞を受賞した作品、また同じく2021年本屋大賞の1位~3位の作品のAmazonのレビュー数と点数を表にまとめてみました。(2021年2月5日現在のレビュー数と点数です。)

2021年に芥川賞を受賞した3作品

2021年芥川賞受賞レビュー数点数
『彼岸花が咲く島』247件4点/5
『貝に続く場所にて』115件3.5点/5点
『ブラックボックス』31件3.1点/5点
平均値131件3.78点/5点

2021年に直木賞を受賞した4作品

2021年直木賞受賞レビュー数点数
『テスカトリポカ』828件4.3点/5
『星落ちて、なお』175件4.2点/5点
『黒牢城』510件4.4点/5点
『塞王の楯』116件4.4点/5点
平均値407件4.33点/5点

2021年本屋大賞のBEST3

2021年本屋大賞1~3位レビュー数点数
『52ヘルツのクジラたち』2534件4.4点/5
『お探し物は図書館まで』751件4.5点/5点
『犬がいた季節』373件4.5点/5点
平均値1219件4.43点/5点

この表を見てみると、レビューの数も点数も芥川賞受賞作品の方が他の賞の作品に比べて低いことが分かります。

直木賞や本屋大賞は点数が4.3点と4.4点なのに対して、芥川賞は3.7点と0.5点も差が開いています。

また、レビューの数も芥川賞の方が少なくて、直木賞と比べると約3倍、本屋大賞と比べると約10倍もの開きがあります。

もちろん、Amazonのレビューがどこまで世間の評価を正確に反映できているかは分かりませんが、他の文学賞と比べて明確な差があるということは事実です。

芥川賞、直木賞、本屋大賞は一般的な知名度も同じくらい高く、非常に有名な文学賞です。

ではなぜ、同じくらいの知名度のある文学賞なのに、芥川賞の評価は低いのでしょうか?

それは、芥川賞を受賞する作品の特徴に原因があります。

なぜ芥川賞受賞作品だけ評価が低いのか?

さきほど、芥川賞、直木賞、本屋大賞では知名度は同じくらいだろうと書きました。
たしかに知名度は同じくらいですが、芥川賞には直木賞・本屋大賞とは少し違う特徴があります。

それは、芥川賞は純文学に贈られる賞だということです。

純文学を明確に定義することは難しいですが、ストーリー性というよりは芸術性を追い求めた作品が純文学です。

つまり芥川賞は、ストーリーの面白さよりも文章や文体の美しさといった小説としての芸術性を評価する文学賞だということです。

反対に、直木賞・本屋大賞は作品のどういう部分を評価するのでしょうか?

直木賞は、エンターテインメント作品に贈られる賞です。
そのため直木賞は、エンターテインメント性の高さ(=ストーリーが面白さ)を評価しています。

本屋大賞は、「売り場からベストセラーを作る!」をスローガンに、書店員さんが面白いと思う本に投票して順位が決められます。

エンターテインメント性を評価するとは明言していませんが、「売れる本」「書店員さんの多数決」といった特徴から、毎年ノミネート作品はエンターテインメント性を重視したようなラインナップになっています。

ストーリーの面白さを評価する直木賞・本屋大賞の作品は世間的な評価は高いですが、小説ならではの芸術性(文章の美しさなど)を評価する芥川賞の作品は評価が低い。

このことから、多くの人が小説を、また物語をどのような視点で評価しているかが透けて見えてきませんか?

そうです。
多くの人は、「ストーリーの面白さ」という視点だけで作品を評価して、「小説としての芸術性」という視点が完全に欠けているのです。

「なぜその作品は小説なのか?」という視点の欠如

ここまでで、ストーリー性を評価する直木賞・本屋大賞は世間的な評価が高いのに対して、芸術性を評価する芥川賞は世間的な評価が低いということが分かりました。

そのことから、多くの人は「ストーリーの面白さ」という観点だけで作品を評価して、「小説としての芸術性」という観点が欠けていると指摘しました。

では、「小説としての芸術性」とはどのような観点なのでしょうか?

それは、「なぜその作品は小説なのか?」と問うこと、だと思います。

「ストーリーの面白さ」というのは、基本的に持ち運びが可能です。
ある小説が映画になったりドラマになったりするのは、その小説のストーリーが映画にもできるし、ドラマにもできるということ。

つまり、ストーリーと媒体(小説とか漫画とか映画とか)は切り離せるということです。

ストーリーと媒体は別もの、という認識を持つと、自然と先ほどの問いが頭に浮かんできませんか?

「なぜその作品は小説なのか?」

もっと言葉を足すなら、

「なぜ作者は、このストーリーを表現する手段として小説を選んだのか?」
「映画でもドラマでも漫画でもなく、小説であることの理由とはなにか?」

このような問いを持つことが、小説ならではの芸術性の発見につながるのではないかと考えています。

たしかに、ストーリーの面白さは小説の非常に重要な一面です。
しかし、もうひとつ同じくらいもしくはそれ以上に重要なのは、「この作品が小説である理由」だと思っています。

もし、これまでストーリーの面白さしか重視してこなかったという方がいたら、ぜひ「なぜその作品は小説なのか?」という観点でも小説を見てあげてください!

そうすれば、これまで読んできた小説の印象がガラッと変わるかもしれません。

さいごに

今回は、なぜ芥川賞作品の評価は低いのか?というテーマで、芥川賞の世間的な評価が低い現状を明らかにして、「小説としての芸術性を評価する」という観点が多くの人に欠けていることを指摘してみました。

もし、ストーリーの面白さだけでしか作品を見てこなかったという人は、「小説ならではの価値」「映画ならではの価値」という観点でも作品を楽しんでみてください!

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