こんにちは、ニンジャです!
今回は、なぜ日本映画はアカデミー賞を取れないのか?というテーマで、「アカデミー作品賞をとるために必要な3要素」「日本映画で取れるならどんな作品か」について、お話したいと思います。
アカデミー賞とは、「オスカー」という名でも知られる世界最高峰の映画賞。
世界でもっとも有名で、注目される映画賞といっても過言ではありません。
アカデミー賞には、「監督賞」や「主演男優賞」などの様々な部門がありますが、最も注目される賞が「作品賞」。映画作品自体を表彰する賞で、アカデミー賞の最重要部門となります。
そんな「アカデミー作品賞」ですが、日本映画は一度も受賞したことがないのをご存知でしょうか?
「国際長編映画賞」(以前は、「外国語映画賞」という名前でした)という外国作品が対象となる賞は受賞している(『おくりびと』『ドライブ・マイ・カー』など)のですが、「アカデミー作品賞」は一度もありません。
なぜ日本映画は、アカデミー作品賞を受賞することができないのでしょうか?
僕は、それは「アカデミー作品賞に必要な3要素」を満たす作品が無いからだと思います。
では、その「アカデミー作品賞に必要な3要素」とは、どういうものでしょうか?
アカデミー作品賞に必要な3要素とは?
1.万人ウケ
まず、最も基本的な要素というのが「万人ウケ」です。
映画は大衆芸術の一種ですから、大衆に人気が出るような作品であることが求められます。
また、映画は1つ制作するのに、膨大なコストがかかります。
その膨大な制作費を上回る利益を出して、黒字にしないといけないため、必然的に万人ウケ要素を入れ込む必要があります。
小説と対比すると分かりやすいのですが、小説は100万部以上だと大ベストセラー、200万、300万で大大ベストセラーという感じです。
発行部数は正確には分からないのですが、ピース・又吉直樹さんの『火花』や『君の膵臓を食べたい』などの話題作が、300万部クラスだといわれています。
一方、映画で大ヒット作と言われる作品の動員観客数をみると、桁が一つ違います。
『君の名は。』『アナと雪の女王』の動員観客数は約2000万人、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は約3000万人です。
この動員観客数は日本国内のみのものですので、アカデミー作品賞を取るような世界規模の作品だともう一桁違うのかも知れません。
大ヒットの定義が一桁異なるほど、映画というのは規模が大きいもの。
その分、多くのお客さんを呼んでこないといけないため、万人ウケというのが必須条件になります。
そのため、映画において「万人ウケ」は必須要素。
アカデミー作品賞を取っている作品の多くが、恋愛・音楽・下ネタ・家族/友人愛・夢など、全世界に通用する要素(=万人ウケ要素)が入っているように感じます。
最も顕著だと思うのが、最新のアカデミー作品賞受賞作(2022年8月現在)である『CODA あいのうた』。
『CODA あいのうた』は、家族の中で唯一耳が聞こえる女の子が主人公で、耳の聞こえない家族と過ごしながらも、音楽の道を志すというストーリーです。
この映画は、”家族愛”について描いた映画なのですが、それ以外にも”下ネタ”が挟まれたり、”音楽要素”があったり、”恋愛要素”があったりと、全世界共通のネタが仕込まれています。
こういった全世界共通の分かりやすいネタを入れることが、アカデミー作品賞や世界的なヒット作に繋がるのだと思います。
2.オリジナリティ
では、「万人ウケ」だけを追い求めればいいのかというと、そんなわけはありません。
映画というのは、芸術作品です。
そのため、これまでに無かったストーリーや表現方法など、「オリジナリティ」が求められていると思います。
2020年にアカデミー作品賞を受賞した『ノマドランド』は、車上生活を送る高齢者のお話なのですが、登場人物のほとんどがプロの役者ではなく、本当に車上生活をしている素人さんだということで話題になりました。
また、先ほど紹介した2021年アカデミー作品賞受賞作『CODA あいのうた』でも、本当に耳の聞こえない役者さんが起用されたうえに、耳の聞こえない世界の表現方法にひと工夫が盛り込まれていました。
このように「映画という枠の中で、どのように表現していくか」のオリジナリティが求められているように感じます。
3.社会派
ここまでの2つ「万人ウケ」「オリジナリティ」を満たすだけで、かなりの話題作になると思いますが、アカデミー作品賞を取るにはあと1つ必要な要素があると思います。
それは、「社会派」です。
「社会派」とは、現実にある社会問題に対して、問題提起が出来ているかどうかということです。
先ほどから例に挙げている『CODA あいのうた』では、CODA(=耳の聞こえない家族を持つ健常者の子ども)という社会問題を取り上げています。
これは、日本で最近話題になった「ヤングケアラー」の問題とも繋がる社会問題です。
2021年アカデミー作品賞受賞作『ノマドランド』は、車上生活をする高齢者を描き、高齢者の貧困をテーマにしています。
2020年アカデミー作品賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』は、半地下と呼ばれる地下の部屋にしか住めない人々を描き、韓国国内の貧困問題や格差問題をテーマにしました。
このように、近年のアカデミー作品賞受賞作は、社会問題に真正面から取り組むということが需要になってきています。
「万人ウケ」「オリジナリティ」だけでは一歩届かず、「社会派」という要素が揃うことで、はじめてアカデミー作品賞に手が届くのです。
3要素が揃ってる日本映画は無い
ここまで、「アカデミー作品賞に必要な3要素」についてお話してきました。
ここでタイトルの「なぜ日本映画はアカデミー賞を取れない?」に答えを出すと、「アカデミー作品賞に必要な3要素」がそろった作品が日本映画にはないからです。
最近で最も話題になった日本映画は、『ドライブ・マイ・カー』だと思います。
アカデミー賞に4部門ノミネートされ、国際長編映画賞を受賞しました。『ドライブ・マイ・カー』は作品賞にもノミネートされていたのですが、残念ながら受賞は逃しました。
『ドライブ・マイ・カー』は、すごく芸術性が高く、海外からの評価も高い作品でした。芸術性の高さという点で、「オリジナリティ」はずば抜けていたと思います。
しかし、3時間という長さに対してストーリー展開が少なく、少し難解でした。先ほど紹介した万人ウケ要素も少なく、「万人ウケ」は少し足りてなかったように思います。
そして、決定的なのが「社会派」の欠如です。
『ドライブ・マイ・カー』は、特に社会問題を扱ったものではありませんでした。この「社会派」の欠如が、『ドライブ・マイ・カー』が作品賞を逃した原因なのではないかな、と考えています。
ただ、日本映画すべてに「社会派」要素が欠如しているわけではありません。
最近、カンヌ国際映画祭に出品されたことでも話題になった『PLAN75』という作品は、75歳以上の高齢者が自ら死を選べる制度が出来た日本を描いています。
これは言うまでも無く、”高齢化社会”という社会問題に真正面から取り組んだ作品になります。
日本は世界の中でも特に高齢化社会が進む国ですが、意外と高齢化社会を描いた作品は少なかったように感じます。そのため、”高齢化社会”というテーマ自体が斬新でした。
また、75歳以上の高齢者・「PLAN75」という制度を運営する公務員・「PLAN75」で働く外国人労働者という3者の視点から物語が進んでいく、というのも見応えがありました。
『PLAN75』は、「社会派」「オリジナリティ」の2要素を満たしているように感じましたが、「万人ウケ」は欠如しているかなと思います。上で紹介した万人ウケ要素はほぼ入っていないですし、全体的に暗いストーリーです。
日本でも一部の人しか話題にしていなかったのを見ると、やはり「万人ウケ」が足りないのかな~と思います。(『PLAN75』はアカデミー賞を逃したわけでは無いので、2022年に取るかもしれませんが。。)
このように、日本映画で海外でも評価される作品でも、「社会派」が欠如していたり、「万人ウケ」が欠如していたりと、3要素がそろうことは少ないように思います。
この3要素が揃う映画が出てこないため、日本映画はアカデミー作品賞を受賞できないのだと思います。
では、日本映画で可能性があるとしたら、どのような作品なのでしょうか?
日本映画でアカデミー賞を取るなら…?
僕は、日本映画でアカデミー賞を取るなら、”社会派アニメ”だと思います。
僕が思う日本映画の特徴は、「社会派」が弱いこと。
そして、「社会派」を入れると全体的に暗い「万人ウケ」しない映画になることです。
これを解決する方法としては、社会問題に真正面から取り組んだアニメ映画である”社会派アニメ”にあると思います。
アニメというのは、子どもからお年寄りまで対象年齢を広げてくれる、という性質を持ちます。
そもそも、アニメ=子どものものというイメージから始まっているので、対象となる年齢の幅が実写映画よりも広くなります。
先ほど例に出した映画の動員観客数でも分かるように、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『君の名は。』『アナと雪の女王』など、日本の大ヒット映画はほとんどがアニメ映画です。
アニメというのは、最強の「万人ウケ」要素なのです!
さらにいうと、アニメというのは日本が世界に誇る文化です。つまり世界的に見ると、日本のアニメというのは「オリジナリティ」の塊です。
アニメというのは、「万人ウケ」「オリジナリティ」の強い味方になってくれるのです!!
しかし、これまでの日本アニメ映画には「社会派」という要素が足りませんでした。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』しかり、『君の名は。』しかり、社会問題を扱った映画ではありません。
そこで、アニメ映画で、なおかつ「社会派」という要素を兼ね備えた映画が出てくると、日本を代表する大ヒット作になるのではないかと考えています。
僕は、近いうちに”社会派アニメ”の映画が出てきて、アカデミー作品賞を取ってくれると確信しています!
さいごに
今回は、なぜ日本映画はアカデミー賞を取れないのか?というテーマで、「アカデミー作品賞をとるために必要な3要素」「日本映画で取れるならどんな作品か」について、お話ししました。
日本映画初のアカデミー作品賞はどのような作品になるのか、注目して見ておいていただければと思います!
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