「TikTok売れ」から考える今後の本の売り方について

分かりやすく簡単に解説シリーズ

こんにちは、ニンジャです!
今回は、「TikTok売れ」から考えた本の紹介手段・売り方について、書いていきたいと思います。

本の紹介手段について考えたきっかけは、「TikTokで本を紹介するのはアリかナシか」という議論を目にしたことです。

この議論は、書評家の豊崎由美さんがTwitterに投稿したツイート(以下、該当のツイートを引用)を発端に起こりました。

Twitterより引用

僕としてはこのツイートに関して、何か言いたいことがあるわけではありません。
賛否両論あるようですが、ご自身の考えを発信されただけなので、このツイートの是非をとやかく言おうとは思わないです。

ただこれは、本の紹介手段今後どのように本を売っていくかを考える上で、いい機会だと思っています。

そこで今回は、本を紹介する手段本をどのように売るかについて考えたことを、書きたいと思います。

本を紹介する手段・売り方について考えたこと

「本を読む人に向けて」の書評

「TikTokで本を紹介するのはいかがなものか?」「あれは書評と言えるのか?」という議論を目にして思ったのは、本の売り方として大きく2つあるなということです。

それは本を読む人に向けて売る方法と、本を読まない人に向けて売る方法です。

新聞雑誌新聞社・出版社のウェブサイトなどに投稿されている、本の魅力を伝える文章は「書評」と呼ばれています。

書評を書くのは、「書評家」と呼ばれるプロのライターさんです。
上記で引用したツイートの発信者である豊崎由美さんも、プロの書評家として活躍されている方です。

では、この書評は「誰に向けて」書かれたものでしょうか?

それは、「本を読む人に向けて」書かれたものです。

なぜなら、新聞・雑誌・出版社のウェブサイトは、本などの活字を読む習慣のある人だけが目にするメディアだから。

普段から本(≒活字)を読む習慣がない人は、新聞も雑誌も読む習慣はないでしょう。

ニュースやゴシップは、ニュースアプリやTwitterから得ることができるので、新聞・雑誌を読まなくても問題はありません。

新聞社や出版社のウェブサイトは、言うまでもありません。
明らかに本が好きな人のためのサイトであり、本を読む習慣がない人がたまたま訪れるなんてことは、ほぼあり得ません。

つまり、新聞・雑誌・出版社のウェブサイトがターゲットにしている層は、すでに本を読む習慣がある層だということです。

ところで、本を読む習慣がある人はどれくらいいるのでしょうか?

平成30年度「国語に関する世論調査」によると、約53%が月に1冊以上本を読む、と回答しています。

裏返すと、約47%の人が月に1冊も本を読まないということです。
ちなみに3冊以上読む人に絞ると、約15%しかいません。

これはどういうことかというと、本を読む習慣のある人だけをターゲットにしていたら、出版業界は商売あがったりだということ!

普段まったく本を読まない、潜在層をどうやって取り込むか?が、今後出版業界が生き残るためのミッションになっているわけです。

では、「本を読まない人」に向けてのアプローチはどうするか?

「本を読まない人」に文章は使えない

それは、文章でアプローチしないこと。
つまり、動画や音声などでアプローチすることです!

そもそも本を読む習慣がない層は、文章を読む習慣もないことが多いです。

ここ数年で何もかも動画で解決することが可能になったので、分からないことがあってもYouTubeで検索するとたいてい解決します。

例えば、料理のレシピを文章で読まなくても、ここ数年でほとんどが動画になりました。

だから、本を読まない層にアプローチするためには、文章で伝えることは避ける必要があるのです。

では、どうするかというとご察しの通り、YouTubeやTikTokなど文章を使わずに伝えられるメディアで本を紹介することになります。

ただ、出版社が積極的にそういったメディアを活用しているわけではないのが現状。

本の紹介で有名になった、YouTuberやTikTok投稿者などを巻き込んで、本をプロモーションしている印象があります。

代表的な例でいうと、TikTokで本を紹介している「けんご@小説紹介」さんが、2021年に一番面白かった本を紹介する「けんご大賞」です。

「けんご大賞」の対象作品は、全国の約800書店でフェア展開されて、「小説現代 2022年1・2月合併号」(講談社)で、「けんご大賞」の詳細が掲載されるとのこと。

まさに、出版社が有名になったクリエイターを巻き込んで、展開しているプロモーションの例といえます。

このようなすでに有名なクリエイターを巻き込む方法も大事ですが、出版業界が主体となってプロモーションしていくことが必要だと思います。

今後本の売り方は、もっと多様化する

これまでの書評は、新聞や雑誌に投稿されるのがメイン。
なので、本を読まない人にはまったくアプローチできていませんでした。

だからといってSNSが普及する以前に、文章以外でプロモーションしようとすると、テレビCMぐらいしかなかったと思います。

1冊の本のためにテレビCMが打てるはずもなく、ただひたすらに既存顧客(=本を読んでいる層)にアプローチするしかありませんでした

ただ現在、動画や音声メディアで本の紹介をするハードルは極端に下がり、もはや誰にでもできるようになりました。

もちろん、出版業界にも可能だということです。

すでに本を読む習慣のある読書家には、プロの書評家が書いた文章の方が刺さる場合もあるでしょう。

なので、従来の形の書評もそのまま存続していくべきだと思います。

ただ、出版業界は「プロ以外が本を紹介するなんて…」「動画や音声なんかで本を紹介するなんて…」というスタンスを取ることは、もはや不可能です。

YouTubeやTikTokで本が売れると分かった今となっては、出版業界ももっと本腰を入れてSNSでのプロモーションを始めるだろうなと思います。

個人的な意見としては、「本屋さんに行ったことがない人を本屋に連れていく」「本を買ったことがない人に本を買ってもらう」というプロモーション活動は、すごく社会的に価値がある活動だと思います。

なぜなら、その活動により確実に本を読む人口は増えていくからです。

新井紀子さんの『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本が話題になってから数年が経ち、読解力がないことの問題に気づいた人も多くなっています。

僕も、そのひとりです。
本を読んでほしいという思いを持ってブログを書いている者としては、動画や音声メディア(はたまたメタバース?)を使った本の紹介を心から応援しています。

「はじめてニンジャ」では、読書をするときに役に立つ記事を発信しています。
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参考資料
日本編集制作協会 AJEC 「読者と作家をつなげる書評家の仕事」
ほんのひきだし「TikTokクリエイターけんごさんが選出した「第1回けんご大賞」が決定! 約800書店でのフェア開催も」

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