こんにちは、ニンジャです!
今回は、初心者でも面白い!おすすめの学術書を難易度別に紹介というテーマで、比較的かんたんで読みやすいおすすめの学術書を紹介します。
コロナをきっかけに飲み会の回数が減ったり、リモートワークで通勤時間が無くなったりと少し時間に余裕が出てきたという人もいるのではないでしょうか?
そんなときにこそ、少し読むのに時間がかかる学術書にチャレンジしてはいかがでしょうか?
僕は大学生の時に、いわゆる勉強系の学術書なるものを読み始めたのですが、難しくて途中でやめた本もたくさんあります。。
この記事ではそんな僕でも最後まで読むことが出来た、初心者にも面白い学術書をご紹介します!
一部新書やビジネス書よりのものも混ぜて、難易度順に書いていきます!
初心者でも面白い!おすすめの学術書
難易度☆☆:『行動経済学』(ミシェル・バデリー)
【『行動経済学』で学べること】
・教養として「行動経済学」の基礎を学べる!
・人の意思決定について学べるので、営業・企画など仕事にも活かせる!
『行動経済学』(ミシェル・バデリー)は、二度のノーベル賞に輝き市民権を得た「行動経済学」についての入門書。
バイアスやプロスペクト理論、ナッジなど行動経済学の基礎的な部分をコンパクトにまとめた1冊です。
分厚いハードカバーではなく、200ページほどの文庫本です。
なので、ふだん学術系の本を読まない方にも、ハードルが低くくておすすめ!
具体的な内容は行動経済学の基礎的な部分が書かれています。
では、行動経済学とはどういう学問で、何が面白いのでしょうか?
行動経済学とは、経済学に心理学・社会学・神経科学の要素を取り込み、従来の経済学の限界を打ち破った革命的な学問分野です。
では、打ち破られた「従来の経済学」とは何でしょうか…?
従来の経済学は、「人間ってめちゃくちゃ合理的で間違いを起こさないよね」という前提で成り立っていました。人間の意思決定や判断はいつも合理的で完璧だ!ということです。
この前提に、「人間って結構非合理的で、間違いも頻繁に起こすよ」というツッコミを入れたのが、行動経済学です。
『行動経済学』(ミシェル・バデリー)では、「私たちを動かす要因は何か?」「私たちはなぜ、どのように間違いを犯すのか?」といった行動経済学の主要テーマをコンパクトにまとめてくれています!
行動経済学の面白いところは、私たち人間の意思決定についての学問なので、テーマが身近でイメージが付きやすいこと。
さらには、意思決定についての実験で使用された問題を解くのがクイズみたいで楽しいことです!
例えば、問題というのは以下のようなもの。
リンダは30代の女性で、聡明、独身、はっきりとモノを言う性格である。社会正義や差別問題に関心が高く、 反核デモに参加したこともある。
次の選択肢のうち、可能性が高いのはどちらか
1.リンダは銀行員である。
『行動経済学』ミシェル・バデリー・著
2.リンダは銀行員で、フェミニズム運動にも参加している。
このように、「私たちを動かす要因は何か?」「私たちはなぜ、どのように間違いを犯すのか?」という問題に対して、自分が実験台となりながら理解を深めていくことができるのが「行動経済学」の魅力です。
難易度☆☆:『FACT FULNESS』(ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング)
【『FACT FULNESS』で学べること】
・世界に対する思い込みを捨てることが出来る!
・統計に基づいた物の見方を学ぶことが出来る!
『FACT FULNESS』(ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング)は世界で300万部以上売れている大ベストセラーです。
ビル・ゲイツが大学卒業生に贈ったことでも有名で、バラク・オバマ氏も絶賛しています。
『FACT FULNESS』は、客観的な事実に基づき世界を正しく見る習慣を付けてほしいという思いを込めて書かれた本。
統計学的な数値から世界がいかに進歩しているかを説明し、反対に我々がいかに悲観的で、世界の進歩から目をそらして悪い部分ばかりを見てしまっているかを気づかせてくれます。

『FACT FULNESS』の魅力は、新発見の連続だということ。
いかに自分がなんとなく世界はこうだと決めつけ、それも世界を悲観的に見ていたかということが身に染みて感じることができます。
新型コロナの蔓延をきっかけに、正確な事実を知ること、そして思い込みを捨て事実をもとに判断することの重要性が改めて強調されたと感じています。
客観的な事実をインプットし、正しく世界を見つめる術を身に着ける。
こんな今だからこそ、なお読んでおきたい1冊になったと思っています。
私たちが、いかに世界を悲観的に見ているかということを感じられるように、『FACT FULNESS』では13の質問が用意されています。
以下、例としてひとつ引用します。
質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
『FACT FULNESS』ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング[著]
・A 20%
・B 50%
・C 80%
正解をここで明かすのは野暮なので、正解は実際に本を手に取ってみてください!
ちなみに13のクイズはすべて3択なのですが、高学歴の人・専門家なども3分の1以下の正答率とのこと。
いかに私たちが世界を誤ってみているかがよくわかる数字です。
内容は特に専門的というわけではなく、読みやすい本ですので、ぜひチャレンジしてみてください!
難易度☆☆☆:『隷属なき道』(ルトガー・ブレグマン)
【『隷属なき道』から学べること】
・AI・ベーシックインカムなど今後必要とされる教養を身につけることができる!
・社会制度というマクロな視点で物事を考える良い機会!
『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』は、ビジネス書大賞2018の準大賞受賞にも輝いた1冊。
オランダ出身のジャーナリスト・歴史家であるルトガー・ブレグマン氏からの、来たるAI社会に向けた処方箋ともいえる内容となっています。
内容は主に、「貧困と社会福祉政策としてのベーシック・インカムについて」「AI社会におけるロボットとの競争と労働」というような内容です。
ベーシック・インカムとは、すべての人々(子どもも含む)に対して一定額を無条件に給付する制度のことです。
コロナ禍で国民一律に10万円が給付された「特別定額給付金」が、毎月給付されるようなイメージです。
「無条件にお金を配ったら、働かない人だらけになり社会が回らないのでは?」「全国民に配れるほどの財源はあるの?」などなど、様々な疑問が浮かんでくると思います。
その疑問に対して、様々な実験や事例を引用して明らかにしていくのがこの本の面白さとなっています。
また、ベーシック・インカムに関連して、「貧困」についても詳細に書かれているのもポイントです。
「貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる」「貧困は人々に長期的な思考を出来なくさせる」など貧困の恐ろしさを詳細に解説しています。
日本に住んでいるとなかなか貧困が身近に感じられないかもしれないですが、日本にも貧困は存在します。
決して他人事ではない「貧困」の恐ろしさについて学ぶことができます。
もうひとつこの本の柱となっているのが「AI(人工知能)の普及と労働」について。
オックスフォード大学の2名の教授が2013年に「アメリカの労働人口の47%が機械によって代替される」といった内容の論文を発表し、日本でも話題になりました。
「AIに仕事を奪われる」といった内容の記事やニュースを見たことがあるかたもいるのではないでしょうか?
ルトガー・ブレグマン氏はAIとの競争に人間は勝てないとし、ベーシック・インカムや労働時間の短縮といった、労働からの解放が必要だと解きます。
産業革命時代、織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。そして今、AIとロボットが
『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』ルトガー・ブレグマン[著]
「中流」と呼ばれる人々の仕事を奪う。その結果、富の不均衡は極大化する。
こういった社会に対してどのような手段が必要かを、具体的な事例を用いて分かりやすく説明してくれるのが本著です。

普段、仕事に家事にプライベートに忙しいので、なかなか社会制度・貧困・労働などの未来について考える機会は少ないと思います。
せっかくおうち時間が多いこの時期なので、少しマクロな視点から物事を捉える機会があっても良いんじゃないかな、と思っています!
ここからは少し上級編なので、一旦これまで紹介した3冊をまとめておきます!
難易度☆☆:『行動経済学』(ミシェル・バデリー)
難易度☆☆:『FACT FULNESS』(ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング)
難易度☆☆☆:『隷属なき道』(ルトガー・ブレグマン)
難易度☆☆☆☆:『方法序説』(ルネ・デカルト)
【『方法序説』から学べること】
・古典に触れることが出来る!
・物事を考える手順を知ることが出来る!
ここから難易度はグッと上がります。。
デカルトの『方法序説』は学校で習って知っている方も多いと思います。
デカルトの『方法序説』は約400年前に書かれたもので、古典の入門として今でも読み継がれている名著です。
大きさは文庫サイズで、ページ数もかなり短いので難易度は星4にしましたが、内容はなかなか難しくスラスラ読めるものではないです。
ルネ・デカルトは「我思う、故に我あり」という言葉でも有名な哲学者・数学者。
『方法序説』はそんなデカルトが、「すべての人が真理を見いだすための方法」を考えていく思考の過程を記した書物となっています。
「すべての人が真理を見いだすための方法」を見つけるために取った方法が、教科書にも出てくる「方法的懐疑」です。
「方法的懐疑」とは、「すべてを一切疑っていく」というアプローチ方法のこと。
その結果たどり着いたのが「我思う、故に我あり」という有名な文言で、「全てを疑って考えているこの自分の存在だけは疑いようがない」という意味です。
1600年代に書かれた本なので、今と前提知識や文化が異なる部分も多く、理解が難しい部分も多々あります。
すべてを完璧に理解するということは無理なので、まずは「天才・デカルトの頭の中をのぞいてみよう」「約400年も読み継がれている名著に触れてみよう」というような軽い気持ちで読んでみるのが良いと思います!
難易度☆☆☆☆☆:『資本主義と自由』(ミルトン・フリードマン)
【『資本主義と自由』から学べること】
・現在の経済の仕組みの基礎を学べる!
・経済学の原典に触れられる!
『資本主義と自由』(ミルトン・フリードマン)は1962年に出版された本で、当時でも100万部以上売れたベストセラーです。
著者のミルトン・フリードマン氏は1976年にノーベル経済学賞を受賞しています。
『資本主義と自由』は、当時「政府が積極的に介入しましょう」というケインズ派の考えが主流だった時代に、「政府の介入・規制は最小限にするべきだ」と書いた本。
当時としては衝撃的な内容だったので、ベストセラーにもかかわらず、国内で書評に取り上げたのはアメリカン・エコノミック・レビュー誌の1誌だけだったそう。
変動為替相場制度など、当時では衝撃的だったが今では当たり前になっている提言も見られ、とても面白いです。
個人的に特に印象深かったのが、「資本主義は、自由を得るための手段だ」ということ。
自由というのが最大の目的で、資本主義でそれを達成しようということです。
『資本主義と自由』に書かれた政府の介入を最小限にするメリットとして、こんなものがありました。
それは、差別が軽減されるというもの。
政府が介入しない市場では企業間の競争が適正に行なわれます。
そうなると例えば、女性を採用しない企業や黒人を採用しないお店は、優秀な人材を獲得することが難しくなる(単純に採用チャンスが半分になる)ため、競争力が無くなり潰れてしまいます。
つまり、差別をしている人の方が差別をしない人よりも不利なシステムである、ということです。
この時代は今よりももっと差別が横行していたうえに、ナチスのような全体主義への恐怖もまだまだ色濃く残っていた時代です。
今よりも自由というものが貴重で、それを得るためにどうすれば良いかが喫緊の問題であったことが感じ取れます。
資本主義によって格差が拡大し、資本主義の限界が叫ばれている近年。
ですが、あくまでも人々の自由や平等を主人公として考えるべきで、資本主義やその他の政策はそれを実現する手段だと思います。
こういった機会に、一度資本主義の原典に立ち返り、資本主義のメリットと問題点を見つめ直してみてもよいと思います!
- 難易度☆☆:『行動経済学』(ミシェル・バデリー)
- 難易度☆☆:『FACT FULNESS』(ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング)
- 難易度☆☆☆:『隷属なき道』(ルトガー・ブレグマン)
- 難易度☆☆☆☆:『方法序説』(ルネ・デカルト)
- 難易度☆☆☆☆☆:『資本主義と自由』(ミルトン・フリードマン)
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