「学校教育」の意義とは?【『悩みどころと逃げどころ』の感想】

【感想と考えたこと目次】 広げたまま捨てられる「選択肢」 借り物のものさしで「いい人生」を測らない 偏差値60以下のことはやらないおすすめのビジネス書/実用書

こんにちは、ニンジャです!

今回は、『悩みどころと逃げどころ』(ちきりん/梅原大吾・著)という対談本の感想と考えたことを書いていきたいと思います。

まずは、『悩みどころと逃げどころ』の概要と、”ちきりん”さん・”梅原大吾”さんについての簡単な説明から。

対談本『悩みどころと逃げどころ』について

月間200万PV超えの超人気ブログ「Chikirinの日記」を運営しているほか、書籍や音声など様々な発信活動をされている社会派ブロガーの”ちきりん”さんと、14歳で格闘ゲームで国内トップ、そして17歳には世界大会に優勝した日本人初のプロゲーマー”梅原大吾”さんの対談を本にしたもの。

内容は「学校教育」についてのテーマから始まり、「いい人生とはなにか?」というところにまで派生していきます。

ちきりんさんは、有名大学を卒業して大手企業に就職するといういわゆる学校教育的価値観の模範生のような経歴。

かたや梅原さんは、大学には行かずに早くからプロゲーマーとして歩み始めたという学校教育的価値観からは外れた経歴。
この経歴の違いからか「学校教育」に対してのお二人の意見は、対極と言っていいくらい異なります。

『悩みどころと逃げどころ』という対談本は、この2人がまったく異なる経歴で、全然違う意見を持っているということが面白さです!二人とも意見が似ていて「うんうん、私もそう思います」というような対談ではありません。

梅原さんに近い考えの持ち主は、ちきりんさんの考えを「なんだその考え!?」と思うでしょうし、僕みたいにちきりんさんに近い考えを持っていた方は、梅原さんの考えを「なんだその考え!?」と思うことができます。

自分と異なる意見を持つ人の考えを聞ける機会というのは少ないので、梅原さん側の読者も、ちきりんさん側の読者にも驚きと発見を与える、「これぞ対談の醍醐味!」と思える本でした。

ここからは、この『悩みどころと逃げどころ』を読んだ感想考えたことについて書いていきたいと思います!

『悩みどころと逃げどころ』の感想・考えたこと

1.広げたまま捨てられる「選択肢」

この本の中に、学校は言われたことを何も考えずにやることが推奨される場であることを問題視して、自分の人生を選ぶ練習として中学生になるタイミングで科目選択をさせたほうがいいという話になる箇所があります。

たしかに、僕自身大学まで言われるがまま進学してきた人間なので、就活でいきなり「好きに選んでね〜」と言われてとても戸惑いました。

そんなことを思い出しながら、「選ぶ力」についてぐるぐると考えていました。

僕の場合、初めて自分で何かを決めたと言えるのは大学在学中の就活のタイミングです。
いや、これも「就活をする」ということは自動的に選んでいたので、厳密にいうと入りたい企業を考えた程度です。

まわりの友達も、就職人気ランキング上位の企業や知名度があって世間体の良い企業に入ることをゴールとして就活をやっている人が多かったです。

「将来の選択肢を広げるため」と言われて、高校に進学し、大学に進学しましたが、広げた選択肢の中からひとつを選び抜く方法はだれも教えてくれませんでした。

また、そのように「選択肢を広げること=良いこと」という価値観を埋め込まれたため、就職先を選ぶ際にも「潰しがきくから、コンサルに」みたいな人がいっぱい生まれているだと思います。

選択肢を広げるだけ広げさせておいて、その絞り込み方を教えてくれないのは、たしかに「学校教育」の問題点だと感じました。

また、選択肢を広げるのはいいことのように聞こえますが、選択肢を絞り込む方法を教えないので、結局社会的に何となく良しとされている、みんなと同じような選択肢の1択になってしまっていると思います。僕も僕の友達も、なんの疑いもなく大学3年生になったら就活を始めたように。

そう考えると、やはりこの本でお二人が提案されているように、自分が受ける科目を自分で考えて決めるというような、選択肢を絞り込む機会を早めに設けておいたほうがいいと思いました。

選択肢を狭めるという行為は、おそろしく怖いものです。
「自分は重大な間違いを犯しているのではないか?」という疑念が付きまといます。

だからこそ、選択肢を増やすことを熱心に教えるのではなく、どうやったらより良い形で選択肢を狭められるのかを学校では教えるべきだと思います。

2.借り物のものさしで「いい人生」を測らない

客観的な視点から人生の良し悪しは判断できない。まわりから見てあの人は幸せだとか、不幸だとかは言えない。というようなことが、お二人の対談の中で出てきます。

この話を聞いて真っ先に僕が思い浮かべたのが、大学1年生の時に読んで感銘を受けた、アドラー心理学を用いた自己啓発書『嫌われる勇気』です。

『嫌われる勇気』の冒頭には、人間は客観的な世界ではなく自らが意味づけした主観的な世界を生きている、と書かれています。年間を通じて一定して18℃に保たれている井戸水が、夏には冷たく感じ、冬には暖かく感じるように、客観的な世界に対して「私」というフィルターが常にかかっていると。

ちきりんさんと梅原さんの「いい人生」に対する考え方は、この考え方と同じだなぁと感じました。

大切なのは社会的に与えられた計測可能な尺度(年収や結婚してる/していないなど)に頼るのではなく、自分自身がどう感じるかという曖昧だけど唯一無二なものさしで「人生」を測ることだと、改めて感じました。

ただ、自分だけの唯一無二の尺度を持つ、というのはなかなか難しいことだと感じます。
僕自身もどうしても、友達は自分よりも仕事が上手くいってそうとか、勤め先は自分よりも有名な企業だとか、社会に落ちているものさしをかざしては一喜一憂してしまうこともあります。

ただ、自分の人生が「いい人生」かどうかを決めるのは自分である、自分が「いい人生」だと思えることが大事という考え方を知っておくことで、「社会的なものさしで測ってしまっていないか?」と、自分自身に問いかけられるようになると思いました。

3.偏差値60以下のことはやらない

この著書のテーマは「学校教育」なのですが、僕は大学を卒業しているということもあって、学歴や学校教育に関する考え方は、同じ大卒のちきりんさんと近かったです。

僕もちきりんさんと同様に、勉強はそこそこ要領よくできましたが、先生に対して細かい疑問を投げかける迷惑な生徒でした。

学校に違和感を覚え続けていた僕は、「学校なんて行っても意味ないんじゃないか」「学校のつまらない授業を受けてきたあの膨大な時間を、他のことに使えていたらもっとよかったのでは…」と学校には否定的な考えを今でも持っています。

僕には高校生のいとこがいるのですが、もしその子に進路の相談をされたら「大学なんていっても、しょうがないけどね~」みたいな回答をしていたと思います。

しかし、梅原さんの学歴に関する意見は異なっていて、「大学には行っておいた方がいい」という考えでした。

梅原さん自身が大学を卒業していないことで、世間からの風当たりが強いという体験をしたそうです。

この本に例を挙げられていて僕も驚いたのが、梅原さんのバイト先でレジからお金が無くなった際、何の証拠もないのに真っ先に疑われたというエピソード。

このように学歴のせいで、理不尽な扱いを受けるような経験が梅原さんには相当数あったのだろうなと思います。

僕は大学卒なので、世間の中卒、高卒への偏見に満ちた態度というのは実体験としてありません。また、梅原さんのような実体験も正直あまり聞いたことがありませんでした。

考えてみると「大学なんて行かなくていい!」と言っている方の多くは有名大学を卒業した大卒だよな、とこの本を読んでいて感じました。

もしかしたら、公教育について発信するような人の中に中卒や高卒の方は少ないので、偏った意見が形成されていているのでは?

現にこの著書でも、梅原さんは「自分はまともに学校に通っていないので、学校教育については話すことがない」というようなことをおっしゃっていますし、この本のテーマが「学校教育」になった理由も、梅原さんがこれまで学校教育については何も語っていなかったからだと書かれています。

中卒・高卒の方は「自分は学校教育について話せない」と思っていて、梅原さんのバイト先でのエピソードのような学歴にまつわる偏見・差別の実体験というのは、なかなか表舞台に出てきにくい話なのかもな~と感じました。

梅原さんの意見は一理あるな~と思いましたし、自分は学歴に守られて見えていないものがあったんだな~と感じましたが、それでも僕はまだ「多くの人は大学なんて行かないほうがいい」と思っています。

僕は、勉強が好き/勉強が得意な人は大学に行きたければ行ってもいいと考えています。

しかし、勉強が好きでも得意でもない人が、偏差値40〜50ぐらいの大学を出て何の意味があるでしょう??

勉強が得意な人の中に混じって、勉強して大学に進学して就職活動をするというのは、東大や早慶などの有名大学を出た人と同じ土俵で戦うということです。

勉強が好きでも得意でもない人が、勉強が得意な人と勝負をするというのはあまりにも分が悪すぎます。

勉強が苦手でも、他にもっと好きなことや得意な事があるはずです。
その領域で戦えば無理に苦手な「勉強」という領域で戦わなくても済むし、むしろ自分が「好きで得意」という有利な立場で勝負をすることができます。

僕は、よっぽど好きでもない限り、偏差値60以下にしかならないことはやらないほうがいいと思っています。

偏差値60というのは上位16%ぐらいですから、30人学級でBEST5に入らないことはするべきじゃないということ。

逆に得意なことはなんだろう?と考えるときは、既に30人のクラスでBEST5に入っていること(=得意なこと)や、BEST5に入れるまで頑張れそうなこと(=好きなこと)を考えるといいと思います。

とにかく、自分の苦手な領域で戦うのは圧倒的に不利だし、苦しい戦いになってしまうということは覚えておいた方がいいと思います。

みなさんは、もし僕の高校生のいとこから進路相談受けたとしたら、何と答えるでしょうか?

さいごに

今回は、『悩みどころと逃げどころ』(ちきりん/梅原大吾・著)についての感想と考えたことを書きました。

考えの異なる二人の対談だったので驚きと発見が多く、読みながらぐるぐると頭を回して考える必要のあるとても良い本でした!

対談形式で書かれているので、普段あまり本を読まない方にもおすすめです!
僕は、高校生のいとこにプレゼントしようと企んでいます。。

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