こんにちは、ニンジャです!
今回は、ベーシックインカム講義の第3弾として、「ベーシックインカムとは?」「なぜ最近ベーシックインカムの議論が活発なの?」「ベーシックインカムの問題点は?」、について簡単に分かりやすく解説しようと思います!
ここ数年、世界中で議論が活発になっているのがベーシックインカム。
日本でも、ちらほら耳にするようになりました。
この前の衆議院選挙(2021.10.31投開票)で、3番目に議席数の多い政党となった日本維新の会の公約にも、ベーシックインカムについて書かれています。
世界でも日本でも話題にあがることの多いベーシックインカムですが、どういう制度で、どういうメリット・デメリットがあるかご存じでしょうか?
なんとなくでしか分かっていない…という方も多いのではないでしょうか?
そこで、今後より議論が活発になるであろうベーシックインカムについて、わかりやすく解説していこうと思います!
難しいテーマですが、前提知識ゼロの方にむけて書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
ちなみに、ベーシックインカムというテーマは、僕が大学で専攻していたテーマ。
20以上の本や論文に目を通したので、基礎的な部分はお話しできると思います。
いきなり本を読むのは難しい…という方のための、入り口になれればと思います!
また、ベーシックインカムをより深く理解するためには、福祉国家とワークフェアについて簡単に知っておくことがおすすめです。
第1弾で福祉国家について、第2弾でワークフェアについて記事を書いているので、そちらもあわせて読んでいただけると嬉しいです!
ベーシックインカムとは?

ベーシックインカムとは、性別や年齢、働く意思の有無などに関わらず、無条件に支払われる給付のことです。
つまり、全員に生活できるぐらいのお金を配っちゃおう!ということです。
「そんなアホなこと…」と思われるかもしれませんが、社会保障制度として議論されてきた歴史は結構長く、決して最近現れたものではありません。
では、どこが今までと違う点、具体的にはワークフェア(第2弾にて解説)と違う点なのでしょうか?
現在の生活保護のようなワークフェア的政策と決定的に異なる点は、①働く意思があるかどうかは関係ないこと、②所得や財産、家族構成などの審査が必要ないことの2つです。
ワークフェアは簡単に言うと、「生活に必要なお金をあげる代わりに、仕事を見つけて働いてね!サボってたらお金あげないよ!」という制度。
そのため、労働と給付が強く結びついて、セットにされています。
しかし、ベーシックインカムは”無条件で給付”なので、働いていても働いていなくても関係なくお金がもらえます。
第2弾で、ワークフェアの問題点は、国民全員分の仕事がないのに働かせようとしている点だと言いました。
その反面、ベーシックインカムでは仕事をさせようとはしないため、国民全員分の仕事が無い!という問題にも十分対応できる制度となっています。
また、ワークフェアでは「ほんとに生活に困窮しているのか?」「金銭的に補助してくれる家族がいないか?」など、給付をもらうための厳しくチェックがあります。
厳しいチェックが入ることで不正受給を防ぐというメリットはありますが、本当は給付すべき人でも受け取れないことがあったり、チェックするための経費(職員の人件費など)がかかったりと、デメリットも。
実際に日本の生活保護は、本当に必要な人のうち10%~20%ぐらいにしか給付できていないと言われています。
その点、ベーシックインカムではみんなに給付するため、厳しいチェックをすることで発生するコストをかなり削減でき、給付すべき人に給付が届かないという問題も起こりません。
この2点の特徴が、いま主流となっている社会保障制度・ワークフェアと、最も異なる部分です!
では、ベーシックインカムの特徴は分かったけど、なぜベーシックインカムが最近になって盛り上がっているのでしょうか?
1.働く意思があるかどうかは関係ないこと
2.所得や財産、家族構成などの審査が必要ないこと
なぜベーシックインカムが話題?

昔から議論されてきたベーシックインカムですが、なぜ最近になって世界や日本で議論が活発になっているのでしょうか?
それは近年のAI(人工知能)ブームと、密接な関わりがあります。
そのきっかけといえるのが、2013年。
この年、オックスフォード大学のフレイとオズボーンによって、こんな推計結果が発表されました。
「アメリカにおいて10~20年の間に労働人口の47%が機械と代替可能」
「あと10年~20年の間に、47%の仕事が無くなるの!?」ということでかなり話題になり、この後から日本でも「AIに仕事が奪われる!」みたいな本やネットニュースが出てくるようになりました。
ちなみに、この47%という数字はかなり大きく見積もった数字だと言われていて、他の研究者からは9%という数字も出されています。。
これらはあくまで推計なので、どのくらいAIによって仕事が無くなるのかを正確に予測するのは難しいと思います。
ただこの先、あらゆる作業が自動化されていき、人間のやる作業が少なくなっていくというトレンドは変わらないように思います。
もちろん、AIやロボットなどの新技術によって新しい仕事も生まれるとは思います。
実際、そういった新技術を支えるエンジニアは様々な企業から求められています。
しかし、AIやロボットによって自動化された職種の人が、いきなり新技術を活用した新たな職種に就けるかは、また別の話だとも思います。
新しい仕事が生まれても、仕事がなくなった人がその仕事をこなせないと意味が無いからです。
このような、「AIやロボットなどによる自動化で、失業者がめちゃくちゃ増えるんじゃないか?」という不安が高まって、それを救うための制度としてベーシックインカムにスポットライトが当たったのです。
AIのような新技術は人間の存在をおびやかす脅威として、とらえられがちです。
しかしよく考えると、めんどうな作業をAIがやってくれるというのは私たちにとってうれしいことのはず。。
面倒な作業はAIに任せて、私たちはもっと人間らしい活動をしよう!
そして、AIに仕事を任せても大丈夫なように、ベーシックインカムで生活費をまかなおう!というのが、主な最近の流れになります。
「無条件で、誰でもお金がもらえるなんて夢みたい!」と思うかもしれませんが、もちろんベーシックインカムにも問題点はあります。
1.AIの発達によって、大量の失業者が出ると考えられているから
2.面倒な作業ではなく、もっとやりたいことをすべきだ考えられているから
ベーシックインカムの問題点は?

ベーシックインカムの問題点を挙げようとすると、キリが無いほど出てくると思います。。
それは、ベーシックインカムについて分からないことが多いということが関係しています。
これまで完全なベーシックインカムを導入した国は、1つもありません。
そのため、ベーシックインカムにはどうなるか分からない部分が多い、というのが現状です。
ベーシックインカムに対してよく言われる「みんな働かなくなるんじゃないの?」という反論も、実際に導入してみないと正確には分からないというのが本音だと思います。
他にも、「財源はどうするの?」「仕事がないと社会から孤立する人が増えるのでは?」「働いている人が税金を払って、働いていない人が給付をもらうなんておかしい!」などなど、代表的な反論だけでもたくさんあります。
繰り返しますが、反論が多い=悪い制度、ではありません。
ベーシックインカムに関しては分からない部分が多く、だからこそみんなが理解を深めて議論を重ねていく必要があると思っています。
ベーシックインカムには、ここで書き切れないほどのメリットがあり、それと同じくらい多くの反論も存在します。
この記事を読んで少しでも興味が湧いた方は、本を読んで理解を深めていただけると、とても嬉しいです!
もっと深めたい人へのブックリスト
『ベーシック・インカム入門』山森亮[著]
福祉国家の成り立ちからベーシックインカムの基本的な部分まで、分かりやすく解説されている入門書。
『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』ルトガー・ブレグマン[著]
オランダの歴史家・ジャーナリストである、ブレグマンの1冊。「貧困はどのような害をもたらすか?」「ベーシックインカムを導入しようとしたニクソン大統領」など、興味深い事例が多く紹介されています。そこまでアカデミックな内容ではないので、読みやすいです。
『AIと日本の雇用』岩本晃一[編・著]
「AIによって雇用は奪われるのか?」という部分が、気になっている方におすすめ。自動化によって日本の雇用がどのように変化するのか、について書かれています。
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