ワークフェアとは?わかりやすく解説!【ベーシックインカム講義②】

分かりやすく簡単に解説シリーズ

こんにちは、ニンジャです!
今回は、ベーシックインカム講義の第2弾として、「ワークフェアとは?」「ワークフェアはどのようにして生まれたの?」「ワークフェアの問題点は?」という、前提の部分について記事を書こうと思います。

現在、多くの国はワークフェア的な政策を実施しています。
日本の生活保護制度も、ワークフェア的な政策のひとつです。

現状の社会保障政策の問題点を解消するために、近年ベーシックインカムの議論が世界で盛り上がっています。

現在主流となっている政策であるワークフェアについて知っておいたほうが、ベーシックインカムの理解も深まります。

難しいテーマですが、前提知識ゼロの方にむけて書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

ちなみに、このワークフェアやベーシックインカムというテーマは、僕が大学で勉強していたテーマ。

20以上の本や論文に目を通したので、基礎的な部分はお話しできると思います。
いきなり本を読むのは難しい…という方のための、入り口になれればと思います!

また、ベーシックインカム講義の第1弾として、ワークフェアの前提ともなる「福祉国家ってなに?」という部分を解説しているので、まだ読んでない方はぜひ読んでみてください!

ワークフェアとは?

まずワークフェアという名前ですが、「仕事(ワーク)」と「福祉(ウェルフェア)」をかけ合わせて生み出された造語です。

その名前の由来の通り、ワークフェアとは、失業給付や生活保護などの給付仕事をすることをセットにした制度です。

簡単に言うと、「生活に必要なお金をあげる代わりに、仕事を見つけて働いてね!サボってたらお金あげないよ!」というのがワークフェアです。

ワークフェアの最大の特徴は、給付としてお金を渡して終わりではなくなったということです。
福祉国家はお金を給付するだけだったので、ここが決定的な違い!

先ほど説明したように、ワークフェアは労働(仕事を探すことも含む)と給付がセットになっています。

そのため、国は仕事に就けるように職業訓練の機会を用意したり、社会参加の機会を与えたりと、給付型の保障だけでなくサービス型の保障も行うようになりました。

ここまで、ワークフェアは労働と給付がセットになった制度という説明をしてきました。
では、なぜ給付と労働をセットにする必要があったのでしょうか?

それには、理由があります。
次の章「ワークフェアってどうやって誕生したの?」を見ていきましょう。

ワークフェアってどうやって誕生したの?

ワークフェアとは、労働と給付がセットになった制度でした。
では、なぜ給付と労働をセットにする必要があったのでしょうか?

それは、①国のお金がピンチになってきたこと②失業率が増加してきたこと、という2つの理由があります。

ひとつ目の「国のお金がピンチになってきたこと」ですが、前回の第1弾でもご紹介したように、福祉国家では給付がメインの社会保障制度でした。

そのため、完全雇用(=仕事がしたい人はみんな仕事にありつける状態)が崩れ始めた時には、給付だけが膨らんでいくという状態になります。

ふたつ目の「失業率が増加してきたこと」ですが、福祉国家で想定していなかった、若者の失業非正規で働いている人が増えてきました。

若者はまだまだこれから先は長いので、ずっと国から給付し続けるわけにはいきません。
そのため、職業訓練の機会を用意することで、若者をもう一度働けるようにしよう!という考えに至ったのです。

当分の生活費を給付しつつ、仕事を見つけるお手伝いまでしてくれるなんて、めっちゃいい制度!と思うかもしれません。

ただもちろん、このワークフェアにも大きな問題点があります。
では、ワークフェアの問題点とはどういうものでしょうか?

ワークフェアに問題点はあるの?

当分の生活費を給付しつつ、仕事を見つけるお手伝いまでしてくれるなんて、ワークフェアってめっちゃいい制度!のように見えるかもしれません。
では、ワークフェアにも問題点はあるのでしょうか?

まず、簡単に福祉国家からワークフェアへの流れをおさらいします。

福祉国家は、ケガで一時的に働けなくなったり、定年退職したりして収入が無くなった場合に保障してくれる制度でした。
そして、福祉国家の前提は完全雇用(=みんなに仕事があること)でした。

ところが、工業からサービス業に変わっていくにつれて、完全雇用が壊れていき、働きたくても働けない人が増えてきました

そこで、登場したのがワークフェアです!
給付と労働をセットにして、さらに仕事を探すお手伝いをすることで、働きたくても働けない人をもう一度働けるようにしよう!という制度でした。

さて、ワークフェアの問題点ですが、みなさんお気づきでしょうか?
今おさらいした流れに、ワークフェアの問題点が隠されています。

それは、「働きたくても仕事が無い!って言ってるのに、結局働かせようとしてるじゃん!」という矛盾です。

そもそも福祉国家では無理だ!となった理由は、国民全員に行き渡るほどの仕事が無くなったことです。

これは、そこまで人手がいらないサービス業がメインになったこと、人件費が安い発展途上国に工場が移転されたことが原因で、仕事の量が少なくなったためです。

つまり、「仕事の量<国民の数」になってしまい、仕事が足りなくなったのです。

それにもかかわらず、ワークフェアという制度は、この問題を結局仕事をさせることで解決しようとしています。
ここに、このワークフェアという制度の決定的な問題点があるのです。

仕事をさせることで問題を解決するのではなく、もっと他の方法を採用しなければ…。
そのように考えられている中で、ベーシックインカムという制度にスポットライトが当たり始めたのです。

ベーシックインカムの詳しい話は、次回のベーシックインカム講義第3弾でお話ししようと思います!

第3弾も、ぜひご覧ください!

さいごに

今回は、ベーシックインカム講義の第2弾として、「ワークフェアとは?」「ワークフェアはどのようにして生まれたの?」「ワークフェアの問題点は?」という3点について、お話ししました。

次回、ついにベーシックインカムの話に入ろうと思います!
ぜひ最終章となる第3弾も、読んでいただければ幸いです!!

また、参考となる本も紹介しておくので、この記事を入り口として本でより知識を深めてもらえれば嬉しいです!

次の記事:
ベーシックインカムとは?わかりやすく解説!【ベーシックインカム講義③】

もっと深めたい人へのブックリスト

ベーシック・インカム入門』山森亮[著]
福祉国家の成り立ちからベーシックインカムの基本的な部分まで、分かりやすく解説されている入門書。

ワークフェア―排除から包摂へ?(シリーズ 新しい社会政策の課題
と挑戦 第2巻)
』 
ワークフェアに焦点を絞った1冊。論文集のような形式なので、アカデミックな文章になっています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました