福祉国家とは?わかりやすく解説!【ベーシックインカム講義①】

分かりやすく簡単に解説シリーズ

こんにちは、ニンジャです!
今回は、ベーシックインカム講義の第1弾として、「福祉国家ってどういうもの?」「福祉国家はどのようにして生まれたの?」「福祉国家の問題点は?」という、前提の部分について、記事を書こうと思います。

ベーシックインカムを理解するうえで、「そもそも今の福祉制度ってどういうものだっけ?」という部分を理解することは重要です。

なぜなら、現状の福祉制度を理解してないと、それの代替案として提唱されているベーシックインカムがなぜ生まれたのかを理解することは出来ないからです。

難しいテーマですが、前提知識ゼロの方にむけて書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

ちなみに、この福祉国家やベーシックインカムというテーマを選んだ理由は、僕が大学で勉強していたテーマだからです。

20以上の本や論文に目を通したので、基礎的な部分はお話しできると思います。
いきなり本を読むのは難しい…という方のための、入り口になれればと思います!

では、まずは「福祉国家とは?」というところから、話していきましょう!

福祉国家とは?

福祉国家とは、一時的に仕事を失ったり、ケガをして働けなくなった人やその家族が貧困状態にならないように、助けてくれる国の制度のことです。

詳しい誕生の経緯はこのあとお話しますが、日本が福祉国家になったのは1900年代後半ごろで、そのころは男性が働いて家族を養うのが当たり前でした。

当時は今のように、共働きの家族やフリーターの人などはほとんどいなくて、男性は全員仕事にありつけて(=完全雇用といいます)、仕事を手にした男性がひとりで家族を支えるという構造です。

ただ、一家の大黒柱である男性がケガをしたり、病気をしたりしたらヤバいので、国がそこは助けますよ!というのが福祉国家の基本的な考えです。

福祉国家=ケガや病気で、一時的に収入がなくなったときに国が助けてくれる!ということですね!

ただ、「じゃあ福祉国家が誕生する前は、どうしてたんだよ!」という風に思いませんか?
収入が無くなったらヤバい、というのは福祉国家が誕生する、1900年代後半より前の時代でも同じなはずです。

では、どういった経緯で福祉国家は誕生したのでしょうか?

福祉国家はどうやって誕生したの?

では、「福祉国家が誕生する前はどうしていたのか?」「福祉国家はどうやって生まれたのか?」について、お話していきましょう!

まず、福祉国家が誕生した時期ですが、ヨーロッパでは遅くとも1900年代半ば頃、日本では1900年代後半ごろだといわれています。

それ以前の社会は基本的に、家族や親戚などと一緒に住んで、みんな農業をしたり、牧畜をしたりして生活をしていました。

なので、多くの人は家族や親戚などが集まった家族コミュニティを形成して、その場所で一生を過ごしていました。
必要なものも、家族や親戚との間でシェアしていました。

ところが、どんどん社会が農業から工業にシフトするにつれて、その家族コミュニティのあり方も変わってきます。

農業から工業にシフトしていくとどうなるかというと、みんな農業をやめて都市に出稼ぎに出てしまいます。

大部分の人がこれまで自分の畑を耕す自営業だったのが、他人が所有する工場などで働くサラリーマンへと変わっていきます。

そうなってくると、これまでの農業社会では発生しなかった、「工場がつぶれて失業しちゃった!」「ケガして仕事を休まないといけない!」「もう高齢になって働けない!」といった問題が次々と現れてきました。

これまではそのような問題があっても、家族や親戚などと助け合えていました。
しかし、都市に出てきちゃったことで、家族が親と子どもだけ!みたいな少ない家族になって、一家の大黒柱(=父親や長男)からの収入が無くなったら終わり、という状態になってしまいました。

こうして、「これまで家族や親戚などからなる家族コミュニティが担っていた機能を、国がやらなくちゃ!」となって、生まれたのが福祉国家という制度です。

こうやって聞いていると、「国が貧困になるのを助けてくれるなんて、めっちゃいい制度じゃん!」と思うかもしれません。

たしかに、当時は良い制度として機能していたかもしれませんが、だんだんと福祉国家では対応しきれないリスクが出てきてしまうのです。。

ここまでのまとめ‼
  • 福祉国家=ケガや病気で、一時的に収入がなくなったときに国が助けてくれる!ってこと。
  • 農業→工業にシフトしたので、家族のかたちが変わって、福祉国家が生まれた!
  • 福祉国家は、都市にいけばみんなに仕事があるよ、という状態を前提としている!

福祉国家に問題点はあるの?

福祉国家は、都市にいけばみんなに仕事がある!という状態を前提にしていました。
なので、失業や労災などを保障するだけで十分でした。

しかし、この2つの前提(①工業化社会、②みんなに仕事がある)が崩れ始めます。

まず1900年代の終わりごろから、徐々に工業化からサービス業に移り始めました。
また、グローバル化もどんどん進んでいき、工場をより低コストな新興国に移す企業が相次ぎました。

その結果、これまで製造業の仕事がいっぱいあったのですが、それが無くなってしまいます。

こうした時代の変化の中で、福祉国家が前提としていた、2つの前提(①工業化社会、②みんなに仕事がある)が崩れ始めました。

それと同時に、失業や高齢による退職などのこれまであったリスクだけじゃなくて、若者の失業非正規雇用などの新たなリスクが生まれ始めます。

そして若者の失業や非正規雇用などの、新たなリスクにどうやって対応したらいい?と考えて生まれたのが、「ベーシックインカム」と「ワークフェア」という2つの対極的な社会保障制度なのです!!

というわけで、ベーシックインカム講義第1弾はここまで!
第二弾では、日本を含むいろいろな国に広まった「ワークフェア」について、お話ししていきます!

さいごに

今回は、ベーシックインカム講義の第1弾として、「福祉国家ってどういうもの?」「福祉国家はどのようにして生まれたの?」「福祉国家の問題点は?」という3点について、お話ししました。

ベーシックインカム講義は、全3回を予定しています!
ベーシックインカムは第3弾まで登場しませんが、前提知識があるのとないのとでは、ぜんぜん理解度が変わると思うので、ぜひすべて読んでいただければと思います!

参考となる本も紹介しておくので、この記事を入り口として、本でより知識を深めてもらえれば嬉しいです!

もっと深めたい人へのブックリスト

ベーシック・インカム入門』山森亮[著]
福祉国家の成り立ちからベーシックインカムの基本的な部分まで、分かりやすく解説されている入門書。

福祉社会–包摂の社会政策』武川正吾[著]
福祉社会学の教科書的な1冊。
福祉国家や社会保障制度について、網羅的に学びたい人におすすめ。

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