こんにちは、ニンジャです!
今回は、近代絵画の印象派とは?について、わかりやすく簡単に解説していきたいと思います。
美術や絵画をぜんぜん知らないという方でも、「印象派」という言葉は聞いたことがあるんじゃないでしょうか?
「印象派」を代表する画家であるモネやルノワールの作品は、日本でもとても人気で、「モネ展」や「ルノワール展」など企画展もよく開催されています。
さて、そんな「印象派」ですが、何がそんなにすごいのでしょうか?
今でこそ世界中で人気のある絵画ですが、当時は新しすぎて世間に受け入れてもらえませんでした。
そこで、「印象派とは何か」「印象派が誕生したきっかけ」という原点の部分から、「印象派は何がすごいのか?」という部分をお話しようと思います!
美術や絵画の知識ゼロの方に向けて、わかりやすく簡単に解説しています。
この記事を読んで、印象派に興味を持ったり、印象派の作品の見え方が変わったりしていただけると嬉しいです!
印象派とは?【分かりやすく簡単に】

印象派とは、新しい表現方法にチャレンジしていたアーティスト集団のことです。
代表的な人物として、モネ・ルノワール・セザンヌなどがいます。
この新進気鋭のアーティスト集団は、当時では到底受け入れられない、いくつもの試みに挑戦して、その後の美術界に大きな影響を与えました。
印象派の画家たちが起こした革命については、「印象派のここがすごい!~光の発見と「筆触分割」~」で詳しくお話します!
そんなイケイケのアーティスト集団である印象派ですが、どのようにして誕生したのでしょうか?
この「印象派」という名前は、彼らが名乗ったわけではありません。
そこには、誕生秘話が隠されています。
印象派が誕生したきっかけとは?~近代絵画の幕開け~

1.「印象派」という名前が生まれた瞬間は?
1874年4月15日、モネやルノワールなど、のちに印象派と呼ばれる画家たちが展覧会を開きました。
そこで発表された作品のひとつが、モネの代表作として有名な『印象・日の出』という作品です。
現在では印象派の画家たちは高く評価されていましたが、その当時は完全な邪道。
当時の王道を進む画家や批評家からは、大バッシングを受けてしまいます。
そして皮肉にも、「印象派」という呼び名はこの大バッシングの中から誕生しました。
この1874年の展覧会に、批評家であるルイ・ルロワという人物が訪れていました。
そして、ルロワは印象派の作品をディスりまくった記事を、雑誌に掲載します。
そのディスった記事の中で、「これがいわゆる印象主義ってやつですかwwww」的な馬鹿にする文章があり、彼らは「印象主義」の画家なんだということが世間に浸透していきました。
まさか悪口のつもりで書いた「印象主義」がこんなにも定着するとは、ルロワさんも思っていなかったでしょう。。
ちなみに「印象」という言葉自体は、ルロワが編み出したものではなく、モネの「印象・日の出」から取られていると言われています。
2.そして、近代絵画の幕開けとなった印象派
1874年に第1回の展覧会を開き、めちゃくちゃディスられた印象派ですが、その後7回も展覧会が開かれます。
もちろん、第1回の展覧会で世間的に認められたわけではなく、第2回・第3回の展覧会でもめちゃくちゃディスられています。
しかし、展覧会を重ねるにつれて、徐々に評価が上がっていきます。
そして、ゴッホやゴーギャンに代表されるポスト印象派と呼ばれる19世紀末の画家たちや、ピカソなどの20世紀美術にも影響を与える存在になるのです。
はじめは革新的過ぎて拒否反応を起こされた印象派ですが、何がそんなに新しかったのでしょうか?
いま見ると、普通にきれいな風景がだな~と感じませんか??
なぜそこまでディスられたのか?
次は、印象派のすごい点をお話します!
印象派のここがすごい!~光の発見と「筆触分割」~

1.色彩の地位を向上させた!
印象派の作品で最も特徴的なのは、その色遣いです。
僕は美術館で絵画を見るときは、近い距離と遠い距離の2パターンで見るようにしています。
そうすると分かるのですが、印象派の作品は遠い距離でみると、すごく画面が明るくて美しい風景画になります。
反対に近づいて見てみると、遠い距離では見えなかった無数の色味が見えてきます。
白い洋服には白色だけではなく、黄色・紫・赤色・青色などなど無数の色が使われているのがわかります。
このように白い洋服=白い絵具を使う!ではなくて、あらゆる色をキャンバスに置いて、「光」を表現したことが、印象派の革新性だと言われています。
当時、王道だった画家たちは、リンゴ=赤みたいに物には固有の色があるという考え方でした。
今では太陽の光の加減で色の見え方が変わるというのは常識ですが、当時はそのような考え方は常識ではなかったのです。
「色はモノによって決まっているので、決まった色を描くだけ。だから、絵を描くときは形を大切にしなさい!」というのが、当時の王道の考え方。
ところが、印象派は「色は光の加減によって、見え方が変わる。だから、じっくりと観察して光をキャンバスに描き出そう!」という考え方でした。
このように、対象の形ではなく、色に注目したという点が、印象派の革新的だった部分です。
みなさんも、もし美術館で印象派の作品を見る機会があれば、近くでよ~く見てみてください!
人間の肌の色の中にも、紫や青色などが描かれていると思います。
2.「筆触分割」という技を編み出した!
印象派の革新性は、光による色の移ろいをキャンバスで表現することでした。
そして、この章でお話しする「筆触分割」という技は、光を表現するための手法です!
モネの風景画を思い浮かべると分かりやすいと思いますが、印象派の作品はとてもキラキラしていて明るい印象です。
でも、色をいっぱい使っているのに、なんで明るいんだろうと思いませんか?
小学校の図画工作の時間を、思い出してください。
パレットを洗うときに、すべての色をぐちゃぐちゃに混ぜましたよね?(決めつけ)
その時、黒色が誕生したと思います。色をたくさん混ぜると、最終的には黒色になっていきます。
「色をいっぱい使いたいけど、光の輝きや明るさも表現したい!」という悩みを解決した必殺技が、「筆触分割」です。
「筆触分割」とは、色をパレットで混ぜて塗るのではなく、画面上に絵具を混ぜずに塗っていく方法です。

この方法を編み出したことによって、色をたくさん使っても画面を明るく保つことができるようになりました。
個人的に、今でも印象派の作品が人気の理由はこの「筆触分割」にあると考えています。
印象派以前の作品は、画面全体が暗い印象の作品が多いです。
その点、印象派は明るくて綺麗な風景画が多いので、多くの人に愛されているのではないかなと思っています。
3.風景画の地位を向上させた!
さいごに、印象派は風景画の地位を向上させました。
印象派の作品と言えば、モネの『睡蓮』に代表される風景を描いた作品のイメージが強いと思います。
現在では、風景画は人気のモチーフで、風景画はとても人気のある一般的な絵画です。
しかし、当時は風景を描くなんて邪道。宗教的なモチーフや歴史的場面を描いた「歴史画」と呼ばれるジャンルよりも、格下とされていました。

宗教的なモチーフ&暗い画面が特徴の、印象派よりも前のスタイルの絵画。
これは、今でいう芸能界にとってのテレビとYouTubeの関係に似ていると思います。
芸能界にとっての王道は、やっぱりテレビ。最近は、テレビで活躍しているタレントがYouTubeを始めることは珍しくないですが、やはり数としては多くないですし、動きとしてもここ数年のことです。
テレビを中心とする芸能界にとって、YouTubeは格下。
プロがやるものではなく、どちらかというとアマチュアなものという認識がまだまだ強いと思います。
このように、プロ=歴史画、風景画なんてアマチュアがやるものだという風潮が、当時はまだまだ強くありました。
しかし、1840年代にチューブ式絵具が発明され、屋外に絵具を持っていけるようになったのをきっかけに、どんどん自然豊かな屋外で活動する画家が増えます。
そのうちのひとりが印象派を代表する画家・モネであり、数々の風景画を残します。
これまで軽んじられていた風景画の地位は、徐々に上がっていくのでした。
さいごに
今回は、近代絵画の印象派とは?について、わかりやすく簡単に解説していきました!
この記事を読んで、「美術館に見に行ってみようかな…」「印象派についてちゃんと勉強してみようかな…」と思ってくださったら、嬉しいです!
印象派をもっと勉強したい!という人のために、おすすめの本を紹介しています。
そちらもぜひ参考にしてみてください!
おすすめのブックリスト
『近代絵画史(上) ~ロマン主義、印象派、ゴッホ ~』
まずは、これを読んでほしい!とてもおすすめの入門書です。
印象派だけを取り上げるのではなく、印象派の少し前~印象派の少し後まで書かれています。どのような流れで印象派が生まれて、その後どうなっていったのかがよくわかります。
この本を読んだら、実際に美術館へ足を運ぶといいと思います!
「はじめてニンジャ」では、読書をするときに役に立つ記事を発信しています。
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